最近、新聞やテレビなどで「院内感染」が問題になっています。院内感染とは、病院内で病原体(細菌やウィルス)に感染することをいいます。病院で治療を受けている患者さんが病院で(もとの病気とは別の)感染症にかかったり、病院で働く人が感染症にかかったりすること全てを「院内感染」と呼んでいます。病気を治すために受診した病院で違う病気にかかるなんて、想像も出来ないと思います。
感染予防対策が徹底していればこのような事故は起きません。しかしそれを徹底するという事は大変な費用と人手と個人個人の細心の注意が必要です。
例えば私が治療中に血液とか感染物に自分の手でふれた場合(当然グローブはしていますが)その手は”不潔”となります。その時引き出しに入った器具を取りたいとします、たまたま側にスタッフがいなくて、急いでいたときに「一回くらいいーか」と思って不潔な手で引き出しを開けて中の器具を取り出してしまったら、その瞬間、院内の感染予防の環は崩れてしまうのです。引き出しの取っ手や引き出しの中には病原体が付着します。それを知らないでほかのスタッフが引き出しを開けます。その手でドアとか診療器具に触れていけば、どんどん院内に感染が広がるのです。ですから八ヶ岳歯科では1人では診療は出来ませんし、たまたまそばにスタッフがいない場合は「お願いします」と言って来るまで治療は中断し引き出しは開けられません。すぐにスタッフが来れない時は、私がグローブを交換して、清潔になってから初めて引き出しを開けられることになります。
治療内容によっては、清潔と不潔を別々に担当するスタッフが2人いないと出来ない事もあります(マイクロスコープ下の根管治療=マイクロエンド、歯根破折の治療、外科的歯内療法、歯周外科等)

滅菌された器具を取り出すときも、これも滅菌したピンセットで扱わなければなりません。一般的には手で取り出されているような器具も、当院ではピンセットで扱うため一つ一つの行動が素手で扱うよりずっと時間と手間が掛かります。それらの1日の積算、月、年の積算となると莫大な時間、人的、物的コストが費やされています。
滅菌する労力、各種滅菌器のランニングコスト、そして繰り返し滅菌による器具の劣化の費用だけではなく、診療中のこのような労力と手間、時間が徹底した感染予防のために必須なのです。

患者さんには見えない、表には出ない、楽屋裏で費やされている我々の労力、努力とコスト、治療中の時間が費やされていることを理解していただければと思います。

院内感染が起きた病院でも対策はしていたのでしょうが多くのスタッフの中の一人が感染予防の環を崩したのでしょう。人数が多くなるほど管理が難しく、問題が起きやすいことは想像できると思います。





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