2015.07.2907:22
歯根破折の原因   

 歯根破折の原因と条件には従来次の様な項目が挙げられていました 
1)歯の個体条件
   〔疑饂(神経が死んでいる歯)
  ◆ゞ眤阿療畋
2)歯ぎしり・食いしばり(ストレスの多い職業)
3)重いものを持つ仕事(肉体労働)
4)アスリート(激しいスポーツ)
5)強い咬合力(体格、顔型)
6)片一方ばかりで噛む
  “紳仟Δ痛くて噛みにくい
  反対側の歯が無い為かみ易い方ばかりでしかたなく噛む
  H紳仟Δ粒み合わせが悪いため
  な匈みの習慣、くせ 
7)硬い食品嗜好
  好んで硬い食べ物を食べる習慣、癖

・・・などと一般的に言われて来ました

しかし 最近は次のような重大な原因がわかってきました   
   (2013.5.IFEA世界歯内療法会議で報告)
             
 
歯根破折の原因

1.インプラントの相手の歯、隣の歯
2.加齢

3.
根管治療時の薬物(NaOCL、EDTA、水酸化カルシウムCaOH2 ・・・・・)
4.
加圧根管充填
     
 などです.それぞれを一つずつ解説していきましょう
 ・・・
 

1.インプラントの相手の歯、隣の歯

神経の無い歯(無髄
歯)には歯根膜の感覚受容機能(歯に負担がかかった時に異常を感じるはたらき)が かなり失われて、歯に過大な力がかかっても「これ以上力をかけてはいけない」といった信号が鈍くなります。
ある研究では神経の生きている歯(有髄歯)と比べると根管治療(歯内療法)を行った歯(無髄歯)は加重の閾値が57%も高いという報告も出ています。即ち約1.6倍の力でものを噛んでも異常を感じない=「鈍感」になっているのです。

当然インプラントには歯根膜がないので感覚受容機能も全く有りません。根管治療を受けた無髄歯以上に鈍感ですから「何でも噛める」と過信してしまうのです。

だから根管治療を受けた歯はインプラントに感覚受容機能の点で似通っていると言えます

感覚受容機能のにぶい無髄歯と感覚受容器の皆無のターミネーターのようなサイボーグとが噛み合ったら、無意識でなんでも噛んでしまうのは当り前です。
しかしサイボーグでは相手が悪すぎます。生身では(自分の歯では)勝負にはならないのは明らかです・・・
結果天然歯が歯根破折を起こしてしまうのです。

 参考文献
吉野浩一,井汲周治、西原英志、服部夏雄、藤関雅嗣、黒田昌彦:インプラントの対合歯、隣接歯の予後.歯界展望、2013;122(1):25−48.


下記のようなトラブルはずっと以前から歯科界では知られていましたが、「何となくそのような気がする、そんな傾向が有りそう」という程度で統計として公に出る事はありませんでした。特にインプラントをする人たちの間では一種のタブーのような領域でしたが(インプラントのネガティブな面)、著者らはそれを越えてそこに踏み込んだ意味で評価に値すると考えます。

画面をクリックすると拡大されます
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対合歯=相手の歯、 隣接歯=隣の歯
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※上部構造体補綴=インプラントの上に冠をかぶせる事
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 要約すると=インプラントと噛み合う相手の歯と、インプラントの隣の歯は抜歯の確立が高いという結論です。しかも抜歯の原因は殆んどが”歯根破折”です

下の写真はその典型的な例です。最近来院された患者さんです
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 右上の歯が無いところ(レントゲンでは左右が逆ですから、写真上では左上=以下同様)には義歯が入っています。左上の歯の根尖に病巣が出来たために訪れた歯科医院で抜歯してインプラントを勧められて、数年前にイン プラントをしました。その手前の歯(5番)は以前から無髄歯でした。
 
 
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左上の第二小臼歯の矢印の部分に縦にクラックが見えます
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左下の6番も歯根破折を起こしています(クラックが見えます=赤い矢印)しかし幸いなことにその奥の7番は神経が生きているために丈夫なのでサイボーグとわたりあってもまだ無事でした。しかし有髄歯でも歯根破折を起こす事がけっこうな頻度で起こりうるので油断はできません。特にこのように右が入れ歯で左がインプラントであれば、入れ歯側で食べるよりも、インプラント側で食べる方がガッチリ噛めるため、咀しゃく頻度ははるかに高くなります。特に堅い食物を食べる時には喜んでバリバリ音を立てて満足感を味わってたのではないでしょうか?

インプラントの最大の謳い文句は「なんでも噛める」です。
なんでも噛めると言われて嬉しくなって何でも噛んでしまうのです、硬いものでも、今まで噛めなかったスルメやビーフジャーキー、干物、硬いせんべいやフランスパン・・・等々

そうです、感違いしてはいけません、ほんとは「なんでも噛んではいけない」が正解です。「相手の歯や周りの歯をいたわりながら噛まなくてはいけない」のです。

2.加齢
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    (注:これも含めて、囲みの論文引用はすべて代表例を挙げています)
加齢とともに天然歯もエナメル質、象牙質が劣化します。40歳を越えると神経の有る歯は表面から、神経のない歯は内部からクラックが発生してきます。それが神経まで到達すれば神経は死にます。歯根外壁まで広がれば歯根破折となります。

インプラントをそのような環境の口に入れることは、くたびれた中古車に新品のレーシングカーのエンジンを載せ換えたようなものです。ボディとかタイヤ、サスペンション、ブレーキがポンコツな車でもアクセルを踏めばすぐさま200キロ以上出るかもしれない。しかし・・・・・バラバラになるか、曲がる事も止まる事も出来ずご臨終となるに違い有りません。数十年使用した中古車であれば、
壊れたエンジンを修理して治せたら(治療出来たら)それがもっとも自然な修復方法かもしれない。しかしその自動車工場のメカニックが(出来るメカニックであれば修理可能かもしれないのに)このエンジン一般的には修理不可能と判断(診断)して廃棄されてしまい、今までよりもはるかに高馬力の、新品のエンジンをのせ換えたら、車体の程度に見合ったスピードで(養生しながら)走らないといけないのですが・・・・・(感違いして)どうしてもアクセルを踏んでしまうんですね、踏めば出るから・・・・
また違う意味での勘違いをされる方も数多く見受けられます。『インプラントは虫歯にならないから手入れはしなくていい』という勘違いです。
インプラントは金属製だから歯ブラシをおろそかにしても、決してそれがムシ歯になることは有りません.しかし【インプラント歯周炎】と言うインプラントの周りの歯周病に高い確率でなります。インプラントを入れざるをえない患者さんはすでに抜歯と言う「歯の手入れをおろそかにして来た生活習慣の(最悪の)結果」を経験しています。そういう方がインプラントを入れた後も同じ生活習慣で過ごしたら、早期に【インプラント歯周炎】(インプラント周囲の歯周病で、回りの歯肉が腫れる、排膿、インプラントがぐらぐらしてくる、最終的にはインプラントの抜去)になる事は多数報告されています。
すなわち、インプラントを入れたから「何でも噛んでいい、手入れも別にしなくていい、万歳だ」は大きな間違いである事を患者は知らなければなりません。
加齢とともに食生活や日常生活で養生しなければ健康は保てないのは周知ですが、
歯も加齢とともに劣化していくという認識を持たなければなりません.

 

 3.根管治療時の薬物

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  To be continued・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


4.歯根破折の原因となる加圧根管充填

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下のレントゲンは側方加圧法(ラテラルコンデンセーション・メソッド)で根管充填した術中の写真です。頭の飛び出している複数のガッタパーチャがマルチファイバーポスト法と一見同じように見えます。これはスプレッダーという器具で根管壁に側方の圧力をかけて隙間を作り、そこにアクセサリーポイントを入れる方法です。その時の側方への圧力が根管壁に応力を蓄積して象牙質を歪ませて歯根破折の原因になるという事が多数の論文で指摘されています

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                 To be continued・・・・・・・・・・