切削器具(ハンドピース)の減菌2
切削器具(ハンドピース)とは、あの『キーン』という音がする歯を削る器具です。
インターネットから切削器具に関する内容を抜粋してみました。

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上記のように、当院のように毎回滅菌は、たったの8%の歯科医院でしか実施されていませんでした。最近は読売新聞の衝撃的なスクープ(2014.5.18)以来改善されて(ハンドピースに限って約半数が滅菌されてきたようですが)


切削器具(ハンドピース)の減菌3
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歯を削る切削器具は、スイッチを切ると、器具内が陰圧になり内部に、感染性のものを含め汚染物質を吸い込んでしまいます。そしてそれを消毒布で拭いただけ(アルコールでは肝炎ウイルス、エイズウイルスは死にません)で次の患者さんに使用した場合、内部の汚染物質がピンク色の染色剤のように逆流します。もしこれが血液だったら・・・感染源になる可能性があります。当院のタービンは感染防止対策として逆流防止弁内臓のタービンを使用し、なおかつそれを毎回タービン専用の高圧蒸気滅菌(下図右)で滅菌工程をを行います=
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(左はタービン、コントラヘッドなどを滅菌する前に、潤滑オイルを高圧で注入し内部の汚染物質を強制的に排出させる装置です。これが無ければ完全な滅菌は困難です)

当然滅菌をしないより何十倍もカートリッジのベアリング(ドリルの回転部分)が早くだめになります、また器具の表面の劣化や変色が起こります。下の写真はそのダメになったカートリッジの残骸です。回転が悪くなったり、ゆるくなったりすると安全のために交換するために約1年間でこれだけの経費(1個約20,000円)がかかります。


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電動モーター
当院では今流行りの電動モーターは使用していません。エアモーターにこだわっています。
患者さんにふれたピンセット、ミラー、小器具、外科器具、バキューム(だ液を吸いこむ器具)とかタービン、エアモーター、コントラヘッド(歯を削る器械)はオートクレーブ滅菌前に毎回すべて超音波洗浄機、洗浄機か流水下でのブラシ洗いをして表面の血液とか付着汚染物を洗い流す必要が有ります。(外科器具や感染症の汚染が明確な場合の器具はH₂O₂で清拭後 、洗浄工程前に1次滅菌でグルトハイド液に1日以上浸漬します)
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洗浄機
:グルトハイドは肝炎、エイズウイルスまで殺す高性能の滅菌消毒剤ですが大変高コストです。
一般的に広く使われているーオスバン等の逆性石鹸消毒液は比較にならない程安価ですが肝炎、エイズは死にません。気休めに過ぎないと言っても過言では有りません。グルトハイドは有毒なホルムアルデヒドガスが発生したり器具を痛めたり(錆びる)非常に厄介な消毒薬です。しかし我々はそれを乗り越えても院内感染予防を成し遂げるために実行しています。


電動モーターは外部に血液やだ液が付いても(電動部は構造上密閉出来ない為に水洗いすると中に水が入るので)ジャブジャブと水洗いは絶対出来無いという致命的な欠点が有ります
大量の血液やだ液が付くことはそれほど頻繁ではないが患者さんの口のなかに手指、削る機器を入れる以上、その一部であるモーター部が汚染されることは絶対に避けられません。(汚染を防ぐために、インプラントのオペ時にはビニールのスリーブでカバーするのは見た事が有りますが、日常の診療中に
患者毎に電動モーターまでカバーを交換したり、電動モーターを交換している医療機関はかつて見た事が有りません)

その点エアモーターは流水下でブラシを使い念入りに洗っても洗浄機に入れても平気です。電動モーターに比べて音がうるさい、トルクや回転数が低い、滅菌する為に早く内部が痛む(コスト)など欠点は有りますが、患者さんへの感染を考えればそれをとらざるを得ません。
電動モーターの先に付けるコントラヘッドのみ滅菌バッグに入れてオートクレーブ滅菌がされていたとしても、手にべったりと触れるモーター自体が滅菌されていなくては全く意味がありません。

そのためにはEOGガス滅菌機が不可欠です。
しかしEOG滅菌器はオートクレーブに比較して高価な事と、ランニングコストが高いためにほとんどの歯科医院に普及していません。また滅菌工程が長い時間を要する(エアレーションを含めると23時間!もかかる)と言う大きな欠点も有ります。でも、よく考えれば、電動モーターの滅菌前の流水下での予洗い(これが重要です)が出来ればという前提ですけれど、密閉型の電動モーターがいつか将来には出来るのでしょうか(尤もユーザーのニーズ?が無ければメーカーが作る訳も有りませんが)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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エアーモーターの大量購入の時も、業者は電動モーターの導入を当時しつこく説得しました。それぞれを比較して動力性能や利便性は明らかに電動モーターが優っていました。しかし、最終的にエアーモーターに決定した理由は、ただ一点滅菌前の流水下での予洗い、洗浄機洗いが出来るという点だけでした。
当時から、電動モーターのメーカーには「水で洗えるのを作れば売れると思う」とアドバイスして来ましたが、何の変化もなかった。重量や回転数の改良には熱心でしたが・・・・そのようなニーズが殆どなかったからです。売れるものを作るのは経済の原理ですが、初めは売れなくても本質的にいいものを作り、ユーザーの意識を変革するのも製造者冥利に尽きるのではないでしょうか?
昨今の治療法、診療機器や材料の変化は「より簡単により早く、より安価に」を目指してきた結果かもしれません・・・・・



このように、患者さん毎に交換するための数量、器具の劣化を考えると多数の準備が必要となります。そのコストとメンテナンスは大変なものです。開業時に大量のタービン、エアモーター等を購入した時はメーカーのN社長自らがご挨拶に来られました。それほど当時は稀なことだったという証です。