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個歯(こし)トレー印象法とは 被せ物(冠)やつめ物(インレー)の型どり(印象)するときにその患者さん用に作った小型の印象用トレー(型枠)を使用する方法のことです。この方法は当院の目指す『再発の無い医療』のために行われている治療法の一環で、とても大切な治療法です。 下の画像のような形をしたトレーで、プラスチック(常温重合レジン)でつくったものをレジン個歯トレーといいます。一般的には、歯の土台の形を整えて、被せ物の型をとるときにはその場で既製のトレーで型採りをします。 しかしこの方法ではその場ではすぐに型は採れません。 この方法を使用すれば下記のように計り知れないメリットが有りますが一般診療所ではもちろん、大学病院ですら殆んど使用されていません。その理由として、時間がかかる、難しい、うまく採れない、コストが合わない、面倒くさい・・・・・です。もっともこの印象法はずっと以前から有りましたが、当時からそのような理由付けで日常の診療にルーチンで使っている歯科医師は稀でした。
この方法でおこなう場合(自費診療)の流れ― 1日目
2日目
3日目 13. 装着時はマイクロスコープで適合状態を確認する 14. 噛み合わせの調整時にもマイクロスコープを使用する 15. 硬化後のセメントを取り除くときに、マイクロスコープで取り残し をチェックする つめ物(インレー)の場合はもう一日かかります 4日目 16. 金属と歯との接点(ふち)を伸ばして歯に密着させる工程(マジックマージン)をマイクロスコープを使用して行います。
1日目 土台の形を整える
以前ある講演会で大手の技工所でセラミスト(審美のセラミックのかぶせ物を作る技工士さん)と呼ばれる方の話が有りました。「個歯トレー印象法はトレーと支台歯が当たったり不鮮明だったりで良くない」という評価でした。当院の仕事をしてくれている技工士さんにこの話をしました。「その方は個歯トレー印象の症例をいくつ経験されたのでしょうかね、ひどい印象ばかり見ていればそのような考えになってもおかしくないですね」と笑っていました。彼は私が愛知県で開業している頃からのお付き合いで、最低数千件以上(いやもっと?)の個歯トレー印象の症例を経験している技工士さんの言葉です。他の歯科医院とももちろん取引が有るので「技工物を作っていても通常のヘビーボディ+インジェクションのシリコン印象と比べると精度がまるで違いますよ」とも言っていました。 件のセラミストはその講演の最後に「最近はワックスを使って補綴物を作った事が無く、パソコンと向きあっている」と豪語されていました。その意味は(従来のかぶせ物は、ロストワックス法といって、一本一本ワックス=蝋で彫刻刀を使って模型上でかぶせ物と同じ形の原型を作り、それを耐火模型の中に埋没して、高温でそれを焼却し,出来た空洞に金属を流し込む方法)では行わないでCAD-CAMオンリーだ=という意味です。 彫刻刀を手にしないと言う事は、料理人が包丁を手にしないのと同じくらいの意味合いを持ちます、コンピュータに”おまかせ” でどうなんでしょうか・・・・・・・・・・??? 治療全てが省コスト、省力化していく中で真逆の方向かもしれませんがこれを超えるものが出来るまでは頑なに使い続けるのが我々のスタンスです。 *歯肉圧排について 歯肉の中に「糸」を入れて行くこの地味な行程、実は保健診療と自由診療の質を分ける1つの要因かもしれませんそれほど重要な行程です。これにより歯肉は歯から離れ、歯の削ったところの境目(マージンといいます)が見えてきます。そして糸を入れる事でできた僅かな空間に型取り材を流し込みます。これではじめて過不足の無い、ピッタリ合った人工物(冠など)を造る事ができます。いくら材料が良くてもこの行程が無ければ境目が隙間だらけでプラークが簡単に溜まる様なかぶせものしかできません。歯肉に炎症が無ければ簡単ですが、ちょっとでも炎症があったり、歯肉の中まで進行してしまった深い虫歯の修復では難しくなり、省略されてしまう事が多いようです。しかしそれでは決して永続性のある治療はできません。肉眼で鏡で見れば奇麗に装着された冠と思うかもしれませんが、歯肉の中で歯と人工物がピッタリ合っているかはわかりません。ごまかしはいくらでもきくのです。しかし結果は数年後に現れます。歯肉圧排は省略しても患者さんにはわかりません。むしろやらない方が早く簡単に終わるので、患者さんには喜ばれるかもしれません。しかしそのために失うものは「信頼」です。合っていない冠がどういう事になるかは、かぶせものつめものが数年で取れたり痛くなったりした経験をお持ちかもしれませんが、それが原因なのです。
1.細かいところまで非常にシャープに精密に型が取れる 2.印象材を消毒するための次亜塩素酸系の消毒薬でも印象面が荒れない 3.印象後時間がたっても寸法変化が少ないという利点を兼ね備えています。反面、寒天・アルジネート連合印象というのは、海藻から出来る食品の寒天と同じ原料ですから、 1.印象が精密ではない 2.印象面がもろく壊れたりちぎれたりしやすい 3.消毒で面が荒れる (もっとも、印象まで消毒する歯医者さんは稀ですが) 3.印象後時間がたつほど寸法変化が大きい という欠点があります。ですから自費の被せ物やつめ物の型を取るのに保険診療と同じ既製の型取りの枠+寒天・アルジネート連合印象でとるのは如何なものでしょうか? 保険と同じ最も簡便な方法で型どりをして、作る材料(セラミック、金合金)だけが保険と違えば自費になるというのは、何かおかしいと思いませんか? ![]()
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