2010.11.0907:27
10月8日から10日まで横浜で第6回日本国際歯科大会があり参加して来ました。世界各地から各分野のオ−ソリティが最新の考えを発表されていましたが、やはり今の歯科界の流行りや風潮を反映してか、大会全体の構成がインプラント、審美にシフトしてしまっている感を得ました。 そのような中である講演で自分の考えが再認識された事がありましたのでご紹介しましょう。

「日本審美歯科協会Presentsイタリア・日本最新のMI審美修復の共演」というプログラムの中の、
Dr.Francesco M.Mangani “間接的審美保存治療−エビデンスに基づく予知性のある結果を求める取り組み”という1時間40分におよぶ講演でした。             
 
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演者は多くの審美修復の著書もあるTor Vergata 大     (Rome)の准教授です。臼歯部(奥歯)の審美的なつめ物の話で、ほとんど見分けのつかないようなきれいな修復でした。ところが,その講演の最後の最後に『イタリアでは歯科医師が奥歯に詰めてもらうときは金合金がほとんどです』と自嘲気味に講演をむすびました。私はそのような審美の大家がまさか、たった今行ったばかりの講演内容である審美と対極にあることを口にするとは思いもよらず、思わず耳を疑いました。日本人の審美歯科医の講演ではまず絶対に有り得ないことです(主催者の複雑な視線を感じる事になるでしょう)
会場を覆った
どよめきと外国人も含めた多くの聴衆のやはり自嘲気味の苦笑いは何だったのでしょうか?    同時通訳嬢も失笑しながらの通訳でした。

聴衆への受け狙いだけであえてこのようなリスクを冒すでしょうか?私は審美を極めた一人が過去を振りかえり、歯科界(さらに患者)に一石を投じたとのだと感じ入りました。

常日頃臼歯部の”白い詰めものを”と希望される患者さんに「精度と耐久性に関しては何よりも金合金のつめものに勝るものは有りませんし,つめた後にふちを伸ばしてよりぴったりさせる事が出来ますよ」としつこく説明(いや説得!)している事をグローバルに再確認できました。(注:かぶせ物(冠)については精度に関して大差は有りません.但しメタルセラミックに限りますが・・・・)

の知る限りでは、日本の歯科医師も自分の奥歯のつめ物はほとんど金合金です。もちろん私自信もそして最愛のワイフも・・・・・・・・


オールセラミック、ジルコニア,CAD/CAMメタルセラミックに比較すると精度は明らかに不良です。歯のかぶせ物や.つめ物の精度というのは、自分の歯とかぶせ物、つめ物の接点がいかに精密に合っているかということですが、歯との接点は単純では有りません。その複雑な接点を精密に再現出来るのは現在のところ金属しか有りません。見えるところはセラミックで、複雑な接点は金属で作られているメタルセラミックは唯一その適合性と審美性を兼ね備えたかぶせものです。
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 数年前に装着されたジルコニア?かオールセラミックのかぶせ物がファイバーポストごと取れて来院されました。クラウンの周囲が肉眼でも、ぎざぎざでぼんやりしているのが分かります.セメントが一部残っているので、直接法のファイバーポスト(ビルドアップコア)ではなく技工所で作った間接法のファイバーポストコアと思われる。ポストの途中に段差があるのでそこまではスリーブ型のファイバーポストと中心にシングルのファイバーポストが使用されている・・・・?

素人が考えても分かると思いますが、湯のみ茶碗の材料とおなじ陶器(セラミック)で金属でつくられた剃刀の刃のようなシャープな線で複雑な歯との接点を作る事は不可能です(可能ならセラミック製の剃刀が有るはずです)。ましてやCAD/CAMのように模型を光学スキャナーで読み込んでからマシニング加工で作る場合などはそのスキャンする時点で対象物が条件を満たさなければ読み込みの誤差が避けられない事はCAD/CAMの欠点として周知の事実です(読み取りの対象となる模型が不正確=型取りが不鮮明=であれば、よりひどいスキャンとなり、歯にぴったり合うものが出来るはずが有りません,すきまだらけのかぶせ物でもレジンセメントが有れば平気だと豪語する人もいます.そのすきまをレジンセメントで埋めればいいからだそうです・・・・😰。

補足:かぶせ物の脱落
皆さんはつめ物やかぶせたものが何年かすれば取れたりした事を経験していませんか? 一般的にはそれが当り前の光景=歯科医療への常識になっています。では何故そう簡単に取れたり外れたりするのでしょうか?最近、とある歯科医院の歯科衛生士さんが歯根破折の治療を希望されて遠方から来院されました。治療が終わりかぶせる段になって驚かれた事が有りました。   
 
                                                                        To be continued・・・・


コンピューターを過信してはいけません.それよりも腕のいい匠がマイクロスコープを見ながらワックスから作製するのがベストです。
技工操作の精度を上げるために型取り前の歯の形成=削ること=をマイクロスコープを使用してシャープに単純なラインにする事に神経を注ぎますが,細心の注意をもってしても、高倍率のマイクロスコープで見れば複雑なラインの連続です。その接点をぴったり適合させるには最終的には匠の技しか有りません。



“自分を本当に納得させることが出来れば
人を納得させることは簡単である”

        利根川進

 

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