手術用顕微鏡(マイクロスコープ)について
歯科治療における大半は、目に見えない細菌と治療の精度との戦いです。
八ヶ岳歯科ではその戦いのための武器として3台のマイクロスコープを導入しています。その1台目はカールツァイス社製OPMI Pico with MORA interface/3CCD(IKEGAMI)/LED で同仕様のものは長野県では初めてとなりました。
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2台目もカールツァイス社製でフラッグシップモデルであるOPMI PROergo /キセノン光源 をやはり県下歯科大学を含めて初導入となりました。

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PROergoは元より、キセノン光源仕様はオプションですが大変高価な装置で導入に当たり思い切った決断でした。しかしそれが無いと根尖孔そのものや、根尖付近の根端(根尖)分岐や側枝はもちろんですが、根管上部の側枝、髄管、イスムス、MB2、MB3等の微細な構造物は発見が出来たとしても、その内部を見ながらの拡大/除去は細くて深い場所のために視野が暗くなってハロゲンではほとんど不可能となります. またそれらの構造物は細菌の隠れ家となるため根管治療の再発の原因ともなります。
従って高倍率で明るい光源のマイクロスコープの導入は当院の再発の無い医療をやり遂げるためのミッションのひとつとも言えるものでした。


PROergo使用中
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歯根破折の「外部接着再植法」治療中
バックテーブルで抜去歯の接着をしています、この後口腔内へ再植をします。治療中に患者さん(希望があれば付き添いの家族も)には正面と右隣のモニターに映し出されるライブの画像を公開しています。
このようにマイクロスコープにはEOG滅菌されたドレープで全体をカバーして使用します。ドレープせずにハンドル等を直に操作すれば次の患者さんに院内感染をおこすからです。

3台目は予防歯科室にBright Vision LED 5002 を導入しました.衛生士さん専用ですが、Zeiss系のレンズを使用し、コスパ的に十分な性能を持っています。
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マイクロスコープは脳外科手術、心臓外科手術、耳鼻科、眼科の手術などでも使用されており、肉眼では見る事の出来ない細かな部分を、顕微鏡レベルでの拡大視野(最大で肉眼の約32倍=ZEISSのマイクロスコープ+3変倍装置装着=だけができる)で確認しながら処置することが可能です。
歯科治療では、歯の根の治療を顕微鏡下で行うマイクロエンド(根管治療)、歯根破折の接着治療法、顕微鏡下で繊細な手術を行うマイクロサージェリー、その他、普段歯を削ったりつめ物をしたりする時にも想像を絶する威力を発揮します。



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このように、歯科用マイクロスコープは歯科臨床の成績向上に非常に恩恵をもたらしてくれてまさに鬼に金棒です。しかしマイクロは、あくまでも「金棒」であっ てこれを使用する歯科医師にも「鬼」であることが要求されます。つまりマイクロを持たなくてもすでに高度なレベルの医療を行える技量を持つ歯科医師(鬼) が使えばまさに金棒になるのです。
また付属の3CCDカメラとハイビジョンカメラにより、治療過程を録画して映像で治療内容を詳細に説明する事も可能となりました。
治療によっては、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を 装着しながらリアルタイムで治療をライブで見ていただいています。当然そのように治療の映像や静止画を記録、説明するという事は全てを患者さんに公開する わけですから失敗は許されません。われわれにとっては心地よい緊張の連続ですが患者さんにとっては自分の医療がどのようになされているのかを知っていただ くこの上ない機会です。


HMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)使用中

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その日の治療後には治療中の画像の説明を診療室のモニターかミーティングブースのパソコンを使用して全症例必ず行います.そうする事によりその日、患者本人がどういう医療を受けたかを理解出来るのです。上記のオペ中のライブ画像の公開やHMD(ヘッドマウントディスプレイ)によるリアルタイムの映像公開とともに患者参加型の医療には不可欠と考えます。



従来、根の中の神経の治療や、つめ物、かぶせ物の治療は手指感覚で行われていたため、術者の技術(鬼の力量)が治療の予後に大きく影響を与えていました。マイクロスコープを使用しない場合、人間の目では限界があります。一度治療した箇所に細菌が侵入し、再び虫歯に侵されてしまう(再発=治療のやり直し)例は残念ながら歯科界の現状において多くの報告がなされています。

当医院では、この現状に疑問を持ち、欧米諸国では当然のごとく使用されているマイクロスコープを設置し、治療した部位の確実性と封鎖性を高め極限まで『再発のない医療』に力を注いでいます。
実際アメリカではすでに1998年に根の治療の専門医がマイクロスコープの使用を義務づけられています。しかし、日本の歯科医院におけるマイクロスコープの普及率はまだごく一部(2〜3%)しかないのが現状です。しかし実際毎日の診療に活用しているのはもっと少ないと考えられています。床の間の飾りのように “持っているだけ"で埃をかぶっているのも有るからです(出入りの業者談)。
時々売りに出るようです。何故そのような「所有することが目的」が起きるのでしょうか?今歯科界では3種の神器すなわち、CT、顕微鏡、Ni-Tiファイルが最新のツールとしてもてはやされています。それを備えていることが「良い歯医者の条件」となっている風潮があるようで、検索のkey word となっているからのようです。勿論それら特にCT,顕微鏡が有れば((・_・;ではなく活用できれば)鬼に金棒であることに間違いありませんが・・・・・(ー ー;)

治療の精度が超飛躍的に上がるマイクロスコープが日本であまり使われないのは、機器の導入費用が高額である事と保険診療が足かせになっている面があります。最近マイクロスコープを使用することでほんの一部の特殊な治療に保険診療で加算がされるようになりましたが算定要件が厳しく、また技術料も決して十分ではありません。さらに、肉眼の治療ではっきりと内部が見えなければ、手の感覚だけで比較的短時間で治療を終えられますが、マイクロスコープを使えば細かな感染部位が見えるので、丁寧に取り除くために従来より何十倍もの時間がかかります。
(しかし細かな感染部分が見えてもそれを完全に取り除く意志がなければそれは見えたというだけで終わる事になりますが・・・)
このように、莫大な手間暇がかかるのに国の保険制度ではごく一部の特殊な医療行為以外は点数がゼロ(収益が上がらない)とは信じられません。

マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を用いた歯根破折の早期発見
歯根破折(歯の根がひび割れ)した場合、一般的にはほぼ100%抜歯をしなければなりませんが、私の治療法(根管内部接着法)を行えば多くを救済することが可能です。その治療法や歯根破折の発見にマイクロスコープが大きな働きをしています。

過去に使用していたCCDスコープでは、不鮮明であったり、根管の奥深くまで照明が入りにくいといった欠点がありましたが、マイクロスコープによってより鮮明に見る事が出来るようになりました。そのおかげで、今まで見逃されていた初期のひび割れの早期発見や治療がよりしやすくなりました。

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  上の写真から、どこにひび割れがあるのか
  わかりますか?

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黒い象牙質は幸い軟化象牙質ではありませんでした.光っている部分がそうです. これが全て軟化象牙質(感染歯質)であれば保存は困難でした
倍率を上げると、このようにひび割れが鮮明に発見出来るのです。この患者さんの場合、まだ自覚症状はありませんでしたが、このまま放置して知らずに時間が経過すれば、まもなくここ(ひび割れの部分)を境に真っ二つに歯が割れるところでした。患者さんにとっては早期発見できて、より簡単に救済できることになり、まさにマイクロスコープの威力です。
しかし歯根破折の治療をおこなっていない(もしくは否定論者の)医療機関では抜歯を患者さんに”説得する(宣告する)”ための有効なツールともなり得ます、CTもしかりです。またこのように歯冠歯質がほとんど無く、残根状態の歯であっても我々は最大限保存の努力をします。しかし一般的には歯根破折の発見以前に「保存不可能」と診断される様なケースです。フェルールが1〜1.5mm程度無ければコアや被せ物が脱離する、若しくは歯根破折を起こすと言われています。フェルールとは歯肉縁上の帯環と言う低い壁のことですが、モノブロック理論が理解されていればフェルールは“全く必要がありません”。しかし、モノブロック構造をパーフェクトに達成できなければ必ず失敗します(=脱落する、歯根破折を起こす、コアが折れる)。フェルール理論はモノブロック構造を考えも出来なかった時代の、もしくは考えようともしない方々の理論と言えます。しかしモノブロックを完全に遂行できない方はやってはいけません、失敗し患者さんの歯を失うだけですから・・・・・
このマイクロの画像を見せられて抜歯しかないと説得(宣告)されればあきらめるしかありません。どちらにも使える両刃の剣(りょうのつるぎ、諸刃の剣)といえるかもしれません。



上の残根の症例の術前のレントゲン写真です
4番の歯根側方と7番の根尖に影が見えます.4番は治療前に既に歯根象牙質がペラペラに薄いのが分かります 

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 7番の
コアを除去直後でラバーダム・マトリックス を作る前です.残根状態なのがよくわかります

このような残根状態でも、感染歯質を徹
底的に取り除いてから、下のようにマトリックスを作る事によりラバーダムをかける事は可能です

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術後6年11ヶ月です(2015.8.12.)
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この患者さんは遠方から来院されていますが、毎年2回定期的に検診とメンテナンスのために泊まりで来られます.ブラッシングも熱心でプラークインデックスも一けたです.患者参加型の医療がいかに重要かいかに自分の健康を大切にする意識が有るかにかかっている一例です.

4番の歯も上のマトリックスの状態からも分かると思いますが、歯冠部歯質と根管象牙質が殆ど無く、ぺらぺらの残根状態でした。根尖には病巣も有り恐らく一般的には抜歯を宣告されると思われます。そうなるとこの4番と7番の歯が抜かれていたら、この患者さんは4、5、6、7番の部分義歯か3〜4本のインプラントになっていました.4番も根管治療が終わり9年以上経過しました。この症例は改善された最新の術式より前の旧術式なので現在の完全なScoopOut & Multi-Fiberpost法ではありません。しかしそれでも病巣の影も消えて何の問題も無く順調に経過しています。感覚受容器のある自分の歯を残す事が出来るのならサイボーグのようなインプラントに比べてずっといいと思いませんか?この患者さんも遠方のために通院は大変ですが、定期的にメンテナンスに来られて経過が良好であることを説明すると、「普通なら抜かれる歯を助けてもらいそして自分の歯でかめるようになって本当にありがとうございました、うれしいわ」と感謝されました。これだけ自分の歯を残したいと願う患者さんが多いのに歯根破折は“一般的にはすべて抜歯”と唱え、インプラントを勧めたり、あるいは延命処置に過ぎないと嘯く歯科医師の抜歯基準はどこにあるのでしょうか?

術後9年(最新)
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もしあなただったらどちらを
選びますか?







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            尊敬する先生からいただきました! m(_ _)m
















    
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さあここらで1杯カフェしませんか?
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