マジックマージン(テクニック)とはインレー(詰め物)を歯に接着した後、金属と歯の接点を金箔細工のように金属のふちをのばして密着させる事です。

信頼性の高いゴールドインレー(金のつめもの)について
いま流行の白い詰めものやセラミックの物性は近年かなり向上しているもののそれらの最先端の歯科修復材料は未だに昔からあるゴールドの利点(鋳造精度,作りやすさ&耐久性)を追求し目指しているといっていいでしょう。
確実性のある修復法はゴールドのつめものであることは疑問をはさむ余地は有りません。しかし、金を使えばいいかと言うとまったくそうではありません。昔からある金のつめもの、かぶせもののフィット(精度)は下の画像のように決して良くありませんでした。それはマイクロスコープを使わないで肉眼で削り、印象(型どり)の材料もアルギンサンと寒天という精度の極端に悪い材料でおこなうという事と、実際に技工物を作る技工士さんもマイクロスコープを使わずに肉眼で作るためです(今でもその方法は大多数で行われていますが・・)。そうして作られたものはいわゆる金歯でしか有りません。

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この画像は他の歯科医院で詰められたいわゆる”金歯”ですがこれだけ自分の歯と隙間があれば、金合金を使った意味は全くありません。
多くの歯医者さん自身が虫歯になった時につめてもらっている(または詰めてもらいたいと思っている)のは、ハイブリッドインレーやセラミックインレーでも、CR(複合レジン、レジン充填)でもありません。他でもないそれはゴールドインレーなのです。その事からも何が本当にいいのかお分かりになると思います。
それは海外の歯医者さんでも同じのようです。

当院ではゴールドインレーを作る時は、マイクロスコープを使い精密に削り、レジン個歯トレーと最新のシリコン印象材を使い、技工士さんはやはりマイクロスコープを使い精密に作製しています。この技工物を見た同業の技工士さんはその精度に全員が全員ため息をつきます。

● 歯に対するフィットが悪いということは 歯とつめ物の間に分厚いセメント層ができてしまうということです。
強度や硬さがまったく違う素材が 歯と詰めものやかぶせものとの間に存在するのです。薄いほうがいいに決まっています。

● これがたとえ最新のセメントであろうと関係ありません。それは時間がたてば徐々にだ液の作用で溶けて空間があいてしまい、中に虫歯が出来て脱落してしまいます。詰め物やかぶせものが何年かすると取れてしまったり、痛くなったりするのはそのせいなのです。
● では、なぜインレーを作るときに金を用いるかといいますと、通常、補綴物と歯との境目は上記の方法をとって、どう精密に作製しても30ミクロン近い誤差が生じて出来上がってきます。それを解消することがゴールドインレーの場合のみできるのです。

それは装着する際にゴールドインレーのふちの金をグイグイ伸ばしてこの30ミクロンの隙間を埋めていくのです。それがマジックマージンテクニックという方法です(この名称は故保母須弥也先生が付けられたのですが、コンセプトは同じながら、オリジナルの方法とはかなり改変していますので正確には 
modified magic margin technique と言うべきかもしれません)

金は良く伸びます。
わずか1グラムの純金がかなずちでたたいてのばすと 畳一畳にもなるそうです。金箔の製法です(銀合金の場合はそれが不可能です、金属の物性が硬くて展延性(のびる性質)が無く、のびる前にすり切れてしまうからです)。

● このマジックマージンを行わないゴールドのインレーは銀合金のインレーと何ら優位性はほとんどないと言っても過言ではありません。



症例:

上顎小臼歯のつめものの不適合とそれによる虫歯を見つけました。そのため銀合金インレーを除去したケースです。インレーを除去、虫歯に感染した部分を徹底的に除去し、すべてマイクロスコープ下で治療を行いました。

•マジックマージンテクニックを行う前の表面の拡大像です。肉眼では一見ピカピカですが、マイクロスコープで見るとわずかな段差があります。肉眼での治療ではこれ以上の事は不可能です。何も手を加えていない状態でこれだけの精度でできていなければ、いくらマジックマージンでもふちを延ばすことは出来ません。この精度は、専門家なら一見してわかりますが一流のスキルのある技工士さんがマイクロを使用して丹念に作製しなければとても出来ない精度なのです、特に小臼歯のMOまたはMODインレー(=このように隣り合った部分を含む形の事です)は変形しやすく製作が難しいのです。
上の画像のようなすきまだらけの詰め物をふち(と歯も!)を削って『すり合わせ』してごまかすのとは全く別物です。それをマジックマージンと誤解している歯医者さんもあるようですが・・・それもある意味マジック/妖術?(という意味もある)—と言えるかもしれません・・・


これだけ高倍率でみてやっと僅かな段差があるのが見えます
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坊主頭のバーでふちをぐいぐいのばします。熱が出ないように潤滑剤を使います。
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違う形の坊主頭のバーを場所によって使い分けます。 これって手が痛くなる程力がいるんです。
どうしていくら力を入れても削れないつるつるのバーを使うかといいますと、ここで削れるバーを使えば、ふちを延ばすまえに金合金も(歯も!)削って(すり合わせされて)しまい決して金箔細工のように延ばす事は不可能だからです。
この坊主頭のバーは大変貴重で、以前は普通に手に入りましたが、唯一作っていたドイツのメーカーのカタログからもいつの間にか消えていました。需要がないからです。「しかし無いのであればコストはかかっても特注すればそれを手に入れることは不可能ではありません。マジックマージンの必要性(再発のない医療のためにより精度の高い修復をおこなう)のためなら大したことではありません。知人に貰ったものも有りましたが、最近消耗してしまい、数種類のバーを業者に特注して製作してもらいました。

New magic margin technique.
のための器具も最近試用中です。今の方法ではやりにくいために時間がかかる部分のための方法ですが結果が良好なので,インレーの形によってはこれに切り替わって来ています。                                                                                                          
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完成しました!最初のふちの状態とまるで違うのがお分かりと思います。ここまで2本の歯で1時間近くかかりました。
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別の症例です。
マジックマージンの途中です、
一見良さそうに見えますが……
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それをチェックするために綿球でこすると……
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綿の繊維が引っかかっているのが分かります。ここがまだささくれているので再度ふちをのばします。
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やっと綿の繊維がかからなくなりました。
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また別の症例です。最終研磨前ですので、ふちが金箔細工のようにのびて貼り付いているのがよりよくわかります、こうなれば探針(我々が使う先の尖った探リ診る為の器具、当院ではマージンチェック用に更にとぎとぎに尖らせている探針で探ります)で探ってもカチッとも音がせず境目がまるでわかりません。ハイブリッドインレー,セラミックインレーやCRインレー、今流行のレジン充填、銀合金では逆立ちしても不可能です(長年にわたっての精度はさらに雲泥の差となります・・・上記のレジン充填等の症例で10年後20年後の症例は見たことがありません。1年後、2年後良くても全く意味は有りません)


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当院ではマイクロと(もちろん)エキスカを使用し感染歯質の徹底除去から始まり、個歯トレーによる精密な型採り・・・マジックマージンに至るまで、全てにわたり決してイージーではないシビアな治療行程を経て再発、再治療のない精密な修復を追求しています。 それを成し遂げるためには私一人では当然不可能で、チームとしての優秀な我がスタッフ、院外の技工士さんが”同じ理念を共有”してくれて、 私の度はずれたシビアな要求に応えてくれた結果であることは言うまでも有りません。心から感謝。


 




  “僕が今までやって来た仕事の中で一番大事な仕事は、一緒に仕事をすべき本当に優秀な人物を探す事です.一人で出来ない仕事を成功させるためには、優れた人物を見付けなければならない”
                                                                     Steve Jobs


 






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