真のMI(最小限の侵襲,介入)とは


※ MI(Minimal Intervention):
2002年10月にFDI(国際歯科連盟)によって出された声明に基づいている。う蝕(むし歯)の管理における最小限の介入、即ち、基本的には、出来るだけ歯を削らない事を目指す色々なコンセプトや手法がメインとなっていた。しかし現在ではむし歯だけではな く、歯内療法や外科領域等においても、最小限の介入と言う意味合いで広く使用されている。


症例1:
つい最近来院した患者さんです。MI(という言葉)の高い代償です。患者は目先のMIに惑わされてはなりません・・・・・・
MI=「最小限の侵襲」と言われていますが,結果的にきわめて誤解されているところがあります。
すなわち、最小限の侵襲=「歯を削る量、又は外科的侵襲を最小限にすること」と理解している歯科医師、患者が殆どではないかと危惧しています。

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1,2週間前から疲れると痛くなり、歯肉がはれるという主訴で来院されました。(20代女性)
3年前に歯がしみるので歯科医院にかかったら神経を取られた。「目立たないように白いプラスチックを詰めておくね」・・・・

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 歯冠‐歯根破折です。"一般的には" 即座に抜歯です。
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 抜歯という介入は、歯にとっては"最大限の侵襲"であることに気づかないといけません。神経が死んだ歯は,根管治療するために開けた穴(アクセスキャビティ)がこの症例よりもっと小さくても、その穴だけを塞いで詰め物をしただけ(MIの治療?)では・・・・・・・このような結果を招きます。
最小限の侵襲をしたつもりが結果的に最大限の侵襲となった
一例です。
真逆のMIすなわち、Minimal(最小)ではなくMaximal(最大)MI(Maximal Intervention)になっている)
無髄歯(特に小臼歯や大臼歯)の噛み合わせの部分にインレーやレジン充填のみで部分的に修復する(MIの治療)と内側性のつめ物は噛み合わせの力がそこに加わると外に向って拡大する力となります.
つまり歯の中央にくさびを打ち込んだのと同じです。当然このように歯をまっぷたつに割ってしまうのです。
神経が生きていれば(有髄歯)、内側性のつめ物でもあまり割れる事は有りません。しかし下の症例のように、噛む力が強い、歯ぎしり、噛みしめがひどい
(TCHとも言う)、硬いものを好むーそのような患者は有髄歯でも、つめ物が無くても割れることがあります。また内側性のつめ物があればはるかに歯根が割れる危険性が高くなるのでその予防対策が不可欠です。
 
症例2:有髄歯でつめ物が無い
にも拘らず割れた小臼歯
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咬耗(ファセット=歯ぎしりで摩耗した平らな面)が著しい(真っ平らな)事は噛む力や歯ぎしり、噛みしめが強い事を現していますー要注意です
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症例3:有髄歯で噛み合わせにレジンが詰めてあって、割れた大臼歯
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予防法
これらを予防するには
A.無髄歯では外側から全体を覆う必要が有ります。ワイン樽の”たが”の様に周りから囲んで外に広がるのを防ぐためです。その時は見かけ上MIではないと思うかもしれませんが、最終的に長持ちすれば(抜歯とならなければ)それこそが「真のMI」と考えます。
B.有髄歯では、完全歯根破折の前兆として”マイクロクラック”が出現します.それを早期に発見する事が重要なです。
マイクロクラックが出来ると即歯根破折になるとは限りませんが、それ以前に冷たいもの
甘いものがしみる、かむと少し痛い・・・等ムシ歯に似たような症状が出て来ます。その時点ではレントゲン上でも表面的にも肉眼ではムシ歯が見えないので「気のせい?、知覚過敏?」と片付けられる可能性が有ります。それを見逃すと、明らかなムシ歯が無いのに歯髄炎となり、神経を取られる事が多々あります。

当院の歯根破折予防外来では、上記のような癖のある患者は特に注意してマイクロスコープ(で入念に見ないと困難)下でのクラックのチェックと積極的な予防的治療を2011年から行い多数の歯を歯根(冠)破折での抜歯や抜髄(神経を取る事)から未前に救済してきました。

しかし、そういう(クラックが有るかもしれないという)
目で見ていない医療機関にかかると、マイクロを使っていても見逃されて、抜髄とされてしまったケースを身近で体験しています・・・・・・・・・・・・・・・😭

                                                                 To be continued・・・

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このように"真のMI"と言えないMIによって、患者が不利益を被る事が下記のようにまだまだ有ります・・・・・

(。-_-。) 症例4:
 
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 虫歯のセカンドオピニオンで来院され、深いカリエスを認め 充填の必要性を説明しました。
 
しかし、次回来院時には 「かかりつけ医ではフッ素を塗ってあるので予防をしていれば、削らなくてもいいそうです」と言われました・・・・・・ 😓  
          
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 顕微鏡で見なくても、”肉眼でも確認できるような明らかな深い齲窩が有り、内部で拡がって空洞になっています。中には食べかすが入り込み、プラークが出来ていました。このような洞穴の中まで歯ブラシは届かないし、一旦入り込んだ食ベカスは取り除く事は困難です。
矢印のところではエナメル質が薄くなり天井に相当する部分が崩落しそうになっています。
歯科界や世間では削らない(=MIである)方が正しいという誤った考えがいつのまにか大手を振りつつあります
どちらが患者利益になるかをよく考えたいものです。
マスコミは「すぐに削らない歯医者がいい歯医者」(これは患者ウケがするそうです)という表現をしますが、(ウケねらい(・_・;で)このままオブザーベーション (観察)していて、虫歯が進行して、もっと大きく削らないといけなくなったり、そればかりか神経をとるまで進行してしまったらMIの真逆ではないでしょうか?あなたはこれでも削らない道を選びますか?

後日談:・・・・・・・
 
 
 
  
  
              To be continued.・・・・・・・・・

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